終末期医療とリビングウィル

医療技術の発達により、人の死期は少しずつ先送りできるようになっています。しかし、判断力が衰えていく中で、回復の希望がない延命処置を避けたいという人が、多くを占めるようになっています。本人の意思決定能力があるうちに、家族と医療・介護従事者を交えて話し合い、考えを共有することが大事です。本人の価値観、死生観などを共有できれば、本人に意思疎通の能力がなくなっても、家族や医師が迷うことなく終末期の対応ができます。終末期の医療の希望について、判断能力があるうちに、自分の考えを記しておく文書はリビングウィルと呼ばれます。
リビングウィルがないと、家族や医師は、延命を行うべきかどうかで迷ってしまいます。そのため少しでも長く生きてほしいと、延命処置を選ぶ家族が多くなります。リビングウィルには法的効力はなく、最終的な終末期医療の判断は、家族や医師に委ねられます。事前に自分の希望を話し、理解してもらうことも大事です。
死期は突然ふりかかることがあります。望む形で迎えたいなら、縁起でもない、まだ先のことと思わず、早めに取り組む必要があります。話し合いの中で意見が変わっても構いません。リビングウィルは何回でも書き直しできます。最大限の延命処置を望むという結論でも問題ありません。穏やかな表情で、望む形で臨終を迎えてもらうために、リビングウィルは大事な選択肢だと思います。

 

(2021年11月9日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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