経営者の自由裁量

 経営者は、企業にとって極めて重要な存在です。経営上の最高意思決定者であり、経営者の意思決定が企業業績に大きな影響を与えます。しかし、意思決定をするには、複数の選択肢や自由裁量が必要となります。経営者の自由裁量を定量化することは困難ですが、クロスランドらにより自由裁量と業績に関する国際比較がなされています。
 それによれば、日本の経営者の自由裁量の大きさは、15カ国中最低でした。実際の財務データによる、経営者が企業業績に与えた影響も計測されていますが、日本の経営者の影響は15カ国中下から2番目でした。国際比較の結果は、日本の自由裁量は小さく、ゆえに経営者が企業業績に与える影響も小さいことを示しています。日本企業のリスクテークが低い理由の1つとして、経営者に与えられている自由裁量の小さいことが挙げられます。日本企業では、経営者の自由裁量が小さく、リスクをとった経営や非連続的な経営ができない状況にあるといえます。

(2017年4月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。