給付型奨学金の導入

 将来、返す必要がない給付型奨学金が、2018年度から全面的に導入されます。給付型の導入は、貸与型が中心だった日本の制度を改善する重要な一歩です。しかし、日本学生支援機構による奨学金の昨年度の貸与者は132万人おり、給付型奨学金の対象者が各学年2万人であり、極めて限定的です。OECDの加盟国で国の給付型奨学金がないのは、日本と学費が無料のアイスランドだけです。また、給付額が月24万円とあまりに少ないことが問題です。
 基準で示された要件は、高い学習成績、教科以外の学校活動などで大変優れた成果などですが、経済的に苦しい家庭の子は教育環境に恵まれないことが多く、基準のハードルを越えるのは容易ではありません。学校推薦についても、運用によっては先生が気に入る生徒が優先される可能性も否定できません。従来の奨学金も改革されています。無利子の奨学金を予算不足で受けられない人たちは解消されます。また、住民税非課税世帯では成績基準もなくなるため、要件を満たせば、無利子の奨学金を借りられるようになります。

(2016年12月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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