総合診療医のニーズの高まり

新型コロナウイルス感染症の流行で、患者の持病や生活上の課題をふまえた治療や療養調整を担う総合診療医の重要性が改めて注目されています。感染症は多数の臓器や精神面に影響します。新型コロナ下では、複数の診療科が連携して新型コロナ対応に当たる体制も重要ですが、指示系統の複雑化や作法の違いなどが、感染対策上のリスクになる恐れもあります。総合診療科のように一つの診療科で対応できる体制には、利点も多くなっています。
総合診療医は、子どもから老人までを対象に様々な病気や症状を診ます。かかりつけ医や家庭医として、地域の第一線で診療にあたるプライマリ・ケアを担うことも多くなっています。大学病院などの総合診療医は、従来の臓器別の診療科では明確な診断が付かなかったり、適切な治療に結びつかなかったりした患者の診療を担っています。新型コロナの流行下でも、総合診療医が地域の医療体制維持に重要な役割を担っています。発熱外来や検査、ワクチン接種のほか、自宅療養者の健康管理や高齢の濃厚接触者への対応などが考えられます。
国内の総合診療体制は十分とは言えない現状です。数十年も前から病院に総合診療部などをつくる動きはありましたが、総合診療医の必要性が十分理解されていません。人数が少ない現状については、キャリアパスが明確に描けないのが要因の一つです。総合診療の体制整備は海外が先行していますが、英国は、専門教育を受けたジェネラル・プラクティショナー(GP)と呼ばれる医師が3万人ほどいます。家庭医としてどんな状況でも診療、相談に応じています。市民はまずかかりつけのGPに診てもらい、必要であれば病院に紹介してもらうことになります。米国では、病院で総合診療医が活躍しています。入院患者の診療にあたる総合診療医は、ホスピタリストと呼ばれ、年々増えています。

(2021年4月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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