老人福祉・介護事業の倒産

東京商工リサーチの調査によれば、老人福祉・介護事業の倒産は、2012年頃から増加傾向となり、2016年以降は100件を超えて高止まりの状態が続いています。介護や福祉の市場が大きくなり、ノウハウがないまま参入した業者の倒産が増加しています。使用者側に前払い金が戻らなかったり、ヘルパーが定着しなかったりするなど様々な問題が起きています。新規参入はまだ多く、倒産は今後も増えると思われます。
契約時に支払う前払い金は高額ですが、月々の利用料が安くなり、入居者が退去・死亡した場合は返金されます。しかし、経営が破綻し、運営を引き継いだ別会社に返済債務が引き継がれない場合、返金されることはなくなってしまいます。有料系老人ホームでは、一定期間の家賃を最初に支払う前払い金制度を取るケースが多く、数千万円に及ぶケースもあります。支払えば毎月の負担を抑えられますが、2000年代頃から返還金トラブルが多発するようになってきています。
施設の質は運営者で大きく変わります。利用者側は入居前に施設をしっかり確認することが重要です。施設を見極めるポイントとして、①職員数が入居者数の8割以上、②職員の勤続年数が長い、③広告なしでも満室状態が継続などが挙げられます。

(2020年1月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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