老朽化マンションの増加

老朽化マンションに築年数による明確な定義はありませんが、一般的に築30~40年を過ぎたマンションを指します。老朽化の進行は修繕の有無や管理状況に左右されますが、周辺の住環境に悪影響を与えるほか倒壊などのリスクもあります。1981年以前に建設されたマンションは、旧耐震基準に沿ったもので、震度5強程度の地震で倒壊しない水準でつくられています。
老朽化マンションの増加を見据え、円滑に建て替えができる環境整備が求められています。政府は、所有者の賛同割合の引き下げなどを柱に区分所有法の改正を目指しています。建て替えに必要な賛同を現在の5分の4から、共用部の変更や管理組合法人の解散などを決める場合と同じ4分の3かそれ以下に引き下げようとしています。相続などを経て連絡がつかなくなった所有者不明の区分所有は、一定の条件で意思決定から除外する案も議論します。
国土交通省の推計によれば、2020年末時点のマンション675万戸のうち、築40年を超える物件は103万戸もあります。2040年には、405万個まで膨らむ見通しです。103万戸の4分の1ほどが、都内に集中しています。日本は人口減少局面にあるものの、都内などへの人口流入は当面続くとの見方は多く、都心部にある物件の相当数で建て替えが必要です。

 

(2021年12月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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