肝臓がんの治療

肝臓がんは、C型肝炎などのウイルス性肝炎が主な原因ですが、脂肪肝やアルコールの過剰摂取が引き金となることもあります。切除手術のほか内科的療法など、段階に応じた治療法があります。がんの広がりや生じた場所で治療方針は変わります。
根治目的で有効なのは、がんの切除手術です。がんが3個以内の場合で、開腹手術のほか、お腹に開けた小さな穴から器具を入れる腹腔鏡手術があります。体外から電極針を刺し、ラジオ波などでがんを焼く焼灼療法は広く行われています。がんの大きさが3㎝以内で3個以下が対象です。高齢者や合併症のある人にも可能で、場所や大きさなどの条件が良ければ、切除と効果は変わりません。
がんが4個以上または大きい場合は、肝動脈塞栓療法を行います。脚の付け根から動脈にカテーテルを挿入し、がんの手前でゼラチン粒を入れてふさぎます。がんへの酸素や栄養供給を減らし、いわば兵糧攻めにします。抗がん剤を併用する化学塞栓療法は、効果を高めるため焼灼療法を組み合わせることもあります。
切除が難しい進行がんの治療では、ここ数年、分子標的薬などの選択肢が増えてきています。飲み薬のソラフェニブは、がんの増殖や転移にかかわる特定の分子の働きを阻害します。レンバチニブ、レゴラフェニブ、ラムシルマブも次々に登場しています。9月に保険適用されたアテゾリズマブは、がん細胞が免疫細胞にかけているブレーキを解除し、がんを攻撃できるようにします。
C型肝炎ウイルスは薬で除去できるようになりましたが、その後も定期的ながん検査は必要です。脂肪肝もリスクになるので、若い頃より体重が10㎏以上増えた人は注意することが大切です。

(2020年11月18日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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