肺非結核性抗酸菌症とは

 肺非結核性抗酸菌症とは、結核菌とらい菌以外の抗酸菌によって起きる慢性の呼吸器疾患です。病原性の抗酸菌は数十種類あり、日本ではこのうちマイコバクテリウム・アビウムとマイコバクテリウム・イントラセルラーレという菌が、肺非結核性抗酸菌症の9割近くを占めています。初期は無症状のことが多く、健康診断で胸部レントゲンに影があり、精密検査を受けてわかるケースが増えています。精密検査でCTを撮ると、肺に空洞や気管支拡張の病変が見つかります。さらに、たんなどの検査をして菌が見つかれば、肺非結核性抗酸菌症と診断されます。
 肺非結核性抗酸菌症にかかる人の割合は、10万人あたり14.7人です。一方、菌が確認された胚結核患者の割合は10.2人です。患者数が急増しているのは、高齢化でかかりやすい人が増えたことや診断精度の向上などが考えられます。通常は20年から30年かけてゆっくりと症状が悪化しますが、まれに数年で急激に悪くなるケースもあります。治療はクラリスロマイシンとリファンピシン、エタンブトールという3種類の抗菌薬を併用するのが基本です。抗菌薬が効かない場合は、空洞や気管支拡張病変を手術で取り除くこともあります。

(2016年9月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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