高齢者の雇用

 2013年に施行された改正高齢者雇用安定法で、定年退職後の希望者全員に関して65歳までの雇用が企業に義務付けられました。人手不足が深刻化する昨今の雇用状況下で、改めて高齢者が注目されています。マクロ労働力人口の観点からは、65歳までの労働力率上昇だけでは足りず、今後70歳まで、あるいはそれ以上の年齢についても労働力人口が必要となってきます。
 法改正される以前から、60歳定年以降の60歳前半層の処遇については再雇用という形で継続雇用し、仕事内容は同じでも賃金はかなり下がりました。これまでは、生活が困らないように公的な給付金などで補い、雇用の場は確保するという企業の姿勢のため、福祉的雇用の性格がありました。今後、福祉的雇用を脱して高齢者を戦力化することが大切になります。高齢者活用にあたり重要なのは技術継承です。技能には生産現場の技能だけではなく、様々なホワイトカラーの仕事の進め方や人的ネットワークも含まれます。技能継承は高齢者本人の労働意欲を向上させるだけではなく、次世代の社員の能力向上にも役立つことになります。

(2016年9月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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