膵臓がんの早期発見

 国立がんセンターは、血液検査で膵臓や胆のう・胆管にできたがんを早期に見つける新手法の臨床研究を始めています。血液中にある特殊なRNA(マイクロRNA)を複数調べ、がんを特定する方法です。たんぱく質を調べる従来の検査より、高い確率でがんを発見できる可能性が出てきます。膵臓がんは国内で年間3万人以上が亡くなっており、がんによる死亡者数の中で肺や大腸、胃に次いで4番目に多くなっています。特徴的な症状が少なく、早期発見が難しいがんで、診断された時点で手術できない例も多くなっています。
 マイクロRNAとは、遺伝情報物資であるRNAの小さな断片です。病気になると、細胞から出る特定のマイクロRNAの量が増減します。このため、病気の診断などに役立つと期待されています。がんやアルツハイマー病など早期に発見するための研究も進んでいます。現在の血液検査では、がん細胞が分泌するたんぱく質を調べていますが、発見できるのは早期がんの57割にとどまっています。またがんでないのに陽性と判定される人も12割いるとされています。

(2016年9月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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