厚生省は、2000年に妊娠可能な年齢の女性に葉酸摂取を促すよう都道府県に通知しています。特に妊娠を計画している時は、食品からだけではなく、栄養補助食品などで1日400㎍を摂取するよう推奨しています。母子手帳にも、2002年に葉酸の摂取が重要との記載があります。厚生労働省の食事摂取基準では、18歳以上の葉酸摂取の推奨量を1日240㎍と設定され、妊婦の場合は2倍の480㎍に増えます。
葉酸は、ビタミンB群の一種で、細胞増殖や臓器形成に不可欠であり、特に妊婦初期に不足すると胎児の神経組織が正常に発達しないことがあります。無脳症や脊髄が皮膚の外に飛び出す二分脊椎などの神経管閉鎖障害の子どもが生まれる可能性が増えます。日本産科婦人科医会の調査によれば、日本では分娩1万件当たり年5~7人の割合で出生します。葉酸を適切に摂取すれば、毎年数百人の子どもが障害を持たずに生まれることができます。
(日本産科婦人科学会 産婦人科診療ガイドライン 産科編2014)
(2017年3月2日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)