超少子化国

 超少子化国とは、出生率1.5を下回る国を言います。その代表が日本や韓国、スペイン、ドイツなどです。超少子化国は人口構造が急激に変化し、労働力不足や社会保障制度のひずみなどが短期間で顕著に表れる恐れがあります。
 日本で少子化に関心が集まったのは1989年です。この年、出生率1.57と戦後最低に落ち込み、1.57ショックと呼ばれました。育児休業法(現育児・介護休業法、1992年施行)や少子化社会対策基本法(2003年施行)など法制度を整えましたが、少子化に歯止めはかかっていません。2015年出生率1.462年ぶりに上昇し、1994年以来の高い水準になっています。韓国は日本以上に急速に少子化が進んでいます。国が経済破綻寸前の状況に陥り、国民に経済不安・雇用不安が広がって産み控えにつながりました。2005年には出生率が1.08まで低下し、政府は少子化対策に舵を切っていますが、2015年出生率は1.24で十分な成果は上がっていません。
 世界経済フォーラムのジェンダーギャップ指数2015でみると、145カ国中、日本は101位、韓国は115位です。少子に伴う労働力不足を補うには日韓はともに女性の潜在能力に頼らざるを得ません。男が働き、女は家庭を守るといった性別役割分業意識が、両国は伝統的に強く、出産・子育てをきっかけに女性が仕事を辞める状況が今も残ります。女性が出産とキャリアをどうすれば両立できるのかが、日韓に共通する課題です。

(2016年5月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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