週休3日制の導入

わが国では、1987年の労働基準法改正で、法定労働時間が週48時間から同40時間への短縮が盛り込まれ、週休2日が定着しました。長時間労働の是正が目的でした。最近では働き方改革が進み、労働時間は着実に減少しています。週休3日制の導入を目指す企業の多くは、働き手の意欲の改善を狙っています。
週休3日制が普及するカギは賃金にあります。マイナビの調査によれば、勤務日数の減少に合わせて収入が減る場合、78%の人が週休3日制を利用したくないと答えています。一方、1日の労働時間も収入も変わらないなら、77%が利用したいと答えています。週休3日制をすでに導入した企業でも、賃金が下がる制度の場合は利用率が低くなっています。
欧州では総労働時間を減らしつつ、賃金を維持する週休3日制が模索されています。アイスランドでは、2015~2021年に政府や自治体主導で、賃金維持型の週休3日制が試行され、生産性の向上やサービスの質の維持が確認されています。週休3日制の制度化が検討されているベルギーでも、賃金維持型の運用を目指しています。
わが国でも、週休3日制を導入する企業が出てきています。日立製作所は、給与を減らさずに週休3日にできる新しい勤務制度を導入します。働き方を柔軟に選択できるようにして多様な人材を取り込み、従業員の意欲などを高めて生産性を引き上げるとしています。パナソニックホールディングス(HD)やNECも週休3日を検討しています。成果さえ上がれば、働く日数や時間にこだわらない経営が、日本で広がる可能性があります。週休3日制はこれまで、介護などで長時間労働が難しい従業員の就業支援を目的に導入する企業がみられました。勤務日の減少に伴い総労働時間も減り賃金も減るのが一般的でした。日立の週休3日は勤務日の労働時間を増やすことで、総労働時間も賃金も維持します。
IT関連の仕事が増えるなど、産業のサービス化や知識集約化が進み、労働時間と成果は必ずしも比例しなくなっています。時間の使い方について、従業員に幅広い裁量を認め、成果で評価するような仕組みの整備が企業に求められています。週休3日も成果重視型の働き方の一つと考えられます。日本の労働基準法も、働いた時間に応じて賃金が決まる時間給を原則としています。労働時間ではなく成果が重視される中、在宅勤務など新しい働き方も増えており、労働法制の見直しなども必要になります。

 

(2022年4月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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