過敏性腸症候群とは

 過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスによって起こる腸の異常です。下痢の多い下痢型、硬い便の多い便秘型、その両方がある混合型などのタイプがあります。2030代が最も多く、通常の検査で異常はみられません。腹痛や不快感、下痢、便秘を繰り返し、不安や緊張でさらに症状は悪くなります。同じような腹痛や便の異常は、大腸がんやクローン病、潰瘍性大腸炎でも起こります。これらの異常を除外しておくことが大切です。原因は不明ですが、腸管グリア細胞という腸の神経活動を調節する細胞の形が変化しており、成人になってからストレスが加わると、変化が大きくなり、腸が過剰に動き出すのではないかと考えられています。
 治療では、下痢や便秘を繰り返す悪循環を断ち切ることが目標になります。生活習慣の改善が第一であり、休息を十分にとり、脂っこい食べ物や酒、香辛料を控え、腸への負担を減らすことが大切です。生活習慣の改善で良くならない場合は、薬による治療を行います。腸内の水分を吸収して便の量を調節する高分子重合体や、腸の運動を整える消化管運動機能調節薬などを症状に応じて使い分けます。抗うつ薬なども使うことがあります。

(2016年7月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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