児童虐待の対応

 厚生労働省は、増え続ける児童虐待への対応を強化するため、子どもを親から引き離す一時保護の仕組みを見直しています。現行では、児童相談所(児相)の所長が必要と判断すれば強制的に親子を引き離すことができます。しかし、親との関係悪化を懸念して保護をためらえば、虐待が深刻化する恐れもあります。そこで、一時保護の判断に裁判所が関わる仕組みを検討しています。保護の必要性の判断をすべて児相所長に委ねると、親が児相憎しになりやすくなります。第三者である裁判所が保護の必要性を判断することにより、保護者との無用な対立を避けられると思われるかもしれません。
 現在のところ、児相には十分な調査権限がなく、病院や学校などから必ず情報提供を受けられる制度にはなっていません。親子を離して様子を見て初めて虐待がわかることもあります。虐待かわからない段階で保護する場合、裁判所にとっても何をもとに判断するのかは難しい問題です。

(2016年7月26日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。