遺伝性のがんのカウンセリング

 がんの多くは、喫煙や飲酒、食事などの生活習慣のほか、感染症、放射線などによる遺伝子異常が原因で起きますが、特定の遺伝子の変異が原因で発症しやすい体質が次の世代に引き継がれる遺伝性がんもあります。親族の病気の傾向を知ることが、対策に向けた一歩につながることがあります。遺伝性がんは、原因遺伝子の変異が両親のいずれかにあれば、基本的に子どもは性別を問わず50%の確率で受け継ぐことになります。若くして発症する人が多く、がんが複数の臓器にわたったり、2つある臓器でいずれにも発症したりする傾向があります。
 家族に同じがんの患者がいても、遺伝性がんとは限りません。診断の確定には多くの場合、遺伝子検査が必要となります。検査をするかどうかは、病院で遺伝カウンセリングを受けて決めます。認定遺伝カウンセラーらが、患者や家族の病歴などを聞きながら、病気や治療、予防策などを説明します。検査結果を親族にどう伝えるかも含め、納得できる選択ができるよう支援します。遺伝カウンセリングは、多くの場合、臨床遺伝専門医か認定遺伝カウンセラーが対応します。人数はそれぞれ約1,300人と約180人程度で、年々増えていますが、がんの分野に精通した人材がまだ十分ではありません。検査や手術でかかる患者の経済的負担も大きいものがあります。

(2016年6月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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