長時間労働とうつ病の発症

 英国のグループの調査結果によれば、1日の労働時間が11時間を超えていた人は78時間の人に比べ、約5年後のうつ病の発症リスクが2.4倍ほど高かったとしています。体調は神経系、免疫系、内分泌系などの連携で管理されており、昼間の負担を睡眠によって夜のうちに取り除かないと、心身の病気のリスクが高まります。残業で睡眠時間が減ると、頭が働かなくなって時間内に業務が遂行できず、残業がさらに増える悪循環に陥りやすくなります。肉体的な疲れ、人間関係など他のストレス要因が、わずかでも加わると持ちこたえられなくなり、時には自殺に至ることもあります。
 睡眠が5時間を切るあたりから、うつ病や適応障害などのメンタル不調が増えてきます。通勤時間を考えると、5時間睡眠は月100時間程度の残業に相当します。長時間労働と短時間睡眠が数カ月続くと、仕事の生産性も明らかに低下します。うつ病の発症には、強い心理的負荷となる長時間労働として、発病直前の3カ月間連続して1カ月あたりおおむね100時間以上の時間外労働があげられます。

(2017年8月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

 

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