雄マウスのiPS細胞より卵子の作製

雄マウスのiPS細胞から卵子を作って別の雄マウスの精子と受精させ、マウスを誕生させたと、大阪大学の林克彦教授らが発表しています。

Y染色体が加齢に伴って消えることがあることに注目し、雄マウスの尻尾から作ったiPS細胞を繰り返し培養し、Y染色体が消失してX染色体1本だけになった細胞を選別しました。その後、特殊な化合物を用いてX染色体を2本に複製させ、この細胞が卵子を作り、雄マウスの精子を受精させました。受精卵630個から、7匹のマウスが誕生しました。
もしヒトにおいて実現すれば、女性の不妊治療にも道を開く可能性が出てきます。ヒトXOのターナー症候群では、国内に4万人前後いるとされ、多くは卵子が作られず不妊となります。今回の結果からすれば、将来X染色体を複製することにより、子どもを持てるようになるかもしれません。ヒトのiPS細胞を使用した研究では、女性から卵子のもとになる細胞は作られていますが、卵子までは発育していない状況にあります。ヒトへの応用には、まだまだ乗り越えなければならないハードルがいくつかあります。

(2023年3月15日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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