雇用保険料の引き上げ

日本の雇用保険制度は、失業による所得の保障だけでなく、失業予防や仕事と育児の両立などが加わっているのが特徴です。自己都合退職の際の失業手当の条件緩和、教育訓練給付や求職者支援事業の拡充などが議論されています。全体の支出額は今後も膨らみそうです。

財源は、事業主と労働者が払う保険料と国庫負担が主です。コロナ前は極端に低かった保険料ですが、昨年度下期以降一気に引き上げられ、この10年で最も高い水準になりました。潤沢だった積立金が底をついており、財源確保が課題になっています。売り上げが減ったり、業務を縮小したりする会社が増えましたが、社員を解雇せずに休業手当などを払って雇用を維持した会社に、この助成金を支給したり、失業手当の給付も一時期膨らみました。
育児休業中は原則として無給ですが、給付金を受け取ることで収入減をカバーできます。育休は現在最長で2年取ることができて、給付金の支給率は180日目以降は50%です。給付総額は10年で2.5倍に膨らみ、失業手当に匹敵する規模になっています。国では産後パパ育休を導入して男性の育休取得にも力を入れています。

 

(2023年5月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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