雇用指標の上昇

 雇用は過熱し、完全失業率は3.0%にまで低下し、19955月以来212カ月ぶりの低さになっています。失業率が改善している背景には、働き始める女性の増加があります。失業率を男女別にみると、男性は3.2%と前月と同じですが、女性は2.7%と0.3ポイント下がっています。日本の労働市場は完全雇用に近い状態になっています。人口が減る要因もあって、人手不足感は強くなっています。
 しかし雇用指標の改善は、消費に結びついていません。新たに労働市場に入ってくる人の働き方は、パートや派遣など長い目で見た所得の安定しない非正規労働や低賃金の職種が多くなっています。総務省の7月の家計調査によれば、2人以上の世帯の1世帯あたり消費支出は278,067円であり、物価変動の影響を除いた実質で前年同月比0.5%減でした。消費の回復には賃金引き上げや正社員化など雇用の質の改善が課題となります。

 

(2016年8月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。