非正規雇用の待遇改善

非正規雇用とは、勤務時間や雇用期間、通勤範囲などの労働条件が限られる雇用者で、正社員といった正規雇用より賃金が低い処遇を指し、賃金以外の賞与、手当や退職金などが支給されないケースもあります。パートやアルバイト、オフィスの派遣社員、車工場の期間従業員などです。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、非正規の給与の平均は、正社員など正規雇用の7割にとどまります。
労働者にとって短時間勤務といった柔軟な働き方を選択できる利点もありますが、労働条件や賃金で不利な環境に置かれやすく、企業による人員調整も比較的容易で、雇用が不安定です。2021年にパートタイム・有期雇用労働法が全面施行され、同じ労働であるならば待遇も同じにすべきだとの同一労働同一賃金の考え方が原則とされました。
企業の対応には濃淡があり、待遇の是正は道半ばです。就職情報大手のマイナビの調査によれば、基本給を見直した企業は44%でした。一方で賞与や退職金、各種手当を改定した企業は2〜3割にとどまり、改善余地があります。イオンは、パートの待遇を同じ業務を手がける正社員と同等にする制度を順次導入します。食品スーパー大手のライフコーポレーションも、勤務する地域・店舗を絞った社員の種別を廃止し、正社員と同じ待遇としています。待遇改善は外食や製造業にも広がっています。

 

(2024年3月21日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。