非認知能力の必要性

人間には、偏差値やテストの点数のように数値化できる力だけでなく、協調性やリーダーシップなど数値化しにくい力も備わっています。これらは、非認知能力と呼ばれ、他人と関わり合いながら生きていく上で大切な力です。非認知能力とは、客観的数値では測定できない能力の総称で、向上心や共感性、忍耐力などが含まれます。AIと人間が関わる社会では、人間だからこそ求められる能力として、幼児教育や学校教育などの分野で関心が高まっています。
自発的に思考し、相手の言葉に耳を傾け、考えを説明する経験を積ませることで、探求心やコミュニケーション力といった非認知能力を高めることができます。高校までは教員が授業や部活を主導するため、生徒は受け身でも通用しますが、大学生活やアルバイト、就職活動などでは、主体性やコミュニケーション力が求められます。従順で真面目な良い子ほど、卒業後につまずくこともあります。日常的なコミュニケーション力やトラブル対応力などの社会的スキルを身につけることが大切です。
変化の速い時代では、知識はすぐに古くなってしまいます。子どもたちに何かを教え込むのではなく、新しいことを自ら学び続け、能力を高めていくための基盤を身につけさせることが求められています。予測困難な社会に子どもたちを送り出すためには、認知能力のみならず、非認知能力を高めることが必要になります。

(2024年1月25日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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