餅ののど詰まり

 お正月を迎えると毎年のように報道されるのが、餅による窒息事故です。今年も死亡者が出ています。餅による窒息事故は、食べる機会が多い年末年始に相次ぎます。東京消防庁管内では、20112015年に餅などを詰まらせて562人が救急搬送されました。このうち45人は、病院に搬送された時には死亡していました。窒息事故は、食道を通るはずの食品が、気道を塞いで呼吸ができなくなることで起こります。詰め込んで食べたり、食べている途中に急に上を向いたり、おしゃべりしていて息継ぎしたりすることで起こります。特に高齢者の場合は、筋力低下や歯の欠損などで、かむ力やのみ込む力、詰まりかけた時にせきをする力が弱いため起こりやすくなります。
 注意によってリスクは下げられます。あらかじめ一口大に切っておくことです。水分があると餅の付着性が下がってのみ込みやすくなるため、よく噛んで唾液と十分に混ぜ、こまめにのみ込みます。食べる前には汁物などで口を潤すことも大切です。食べる時はおしゃべりを控え、いすの奥に腰掛けて体を安定させることも必要です。もし餅を詰まらせた場合、自力でできる限りせきをすることです。できなければ背部叩打法を行います。声を出せない、顔色が急に青になる、といった兆候があれば、119番通報しなければなりません。

(2016年12月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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