養育費の不払いの対応策

離婚後に養育費の受け取りは進んでいません。内閣府によれば、2020年の離婚件数は約19万件で、未成年の子どもがいるのは57.6%を占めています。離婚後、子どもを育てるのは母親の場合が多くなっています。養育費を取り決めているのは、母子世帯の46.7%にとどまっています。取り決めていない母子世帯に、最も大きな理由を尋ねると、相手と関わりたくないが34.5%、相手に支払う意思がないと思ったが15.3%を占めています。実際に受け取っているのは、母子世帯の28.1%に過ぎません。
養育費の不払い解消に向け、夫婦が専門家の仲介で話し合って約束した支払いが確実なものになるよう、4月に改正法が施行されました。裁判外紛争解決手続(ADR)は、専門家が話し合いをサポートする仕組みです。裁判ではなく、第三者が当事者間に入って話し合いを通じて法的なトラブルの解決をはかる手続きです。利用には両者の合意が必要となります。協議は非公開のためプライバシーが守られます。従来の家裁の調停などに比べ、柔軟な進行や費用が安く抑えられる利点があります。
母親自身の平均年収は272万円です。非正規雇用が多く、生活が不安定で、1世帯平均月額5万円の養育費の不払いは、生活困窮につながりかねません。政府は、母子世帯の受け取り割合を2031年に40%にする目標を掲げています。公正証書の作成やADRの利用などの費用を自治体を通じて助成しています。

(2024年4月16日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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