骨粗鬆症のリスク

加齢や、閉経による女性ホルモンの分泌減少などの影響で、骨がスカスカになる骨粗鬆症は、国内に約1,300万人もの患者がいるとされています。しかし、医療機関で治療や診断を受けている人は多くありません。骨粗鬆症は骨折がなくても、発症するだけで死亡率が2倍になるとされています。骨から血中に溶け出たリンが、血管の石灰化や腎機能の低下を引き起こします。骨はカルシウムとリンで形成されていますが、リンは、骨の形成のほかにも老化の促進など、体に悪影響があることが知られています。血中のリン濃度の上昇で、心臓周囲の血管も石灰化することなどから、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが骨粗鬆症でない人に比べて3.5倍にもなるとされています。
がんや脳卒中、心臓病などの病気に比べ、骨粗鬆症は“放置しても骨折するだけで命の危険はない”と思って検診を受けない人が多いことが問題です。骨折しなくても死亡率が上がることを知り、検診を受け、骨粗鬆症と診断されたらすぐに治療に入るべきです。薬物療法で骨折が減り、死亡率も下がります。魚や乳製品などでカルシウムを多く摂取するとともに、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富に含まれる干しシイタケなどを、一緒に食べるのがよいとされています。また、運動による筋肉の増強が骨の形成に大切です。

(2019年3月5日 産経新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。