高齢者のがん検診

 厚生労働省が指針を決めて市区町村が実施するがん検診の対象には、年齢の上限がありません。しかし検査には高齢者特有のリスクもあり、利益より不利益が上回るという指摘もあります。海外では上限を設けている国もあります。高齢者の場合、がんができても症状が出る前に寿命をまっとうできることがあります。しかし、検診でがんが見つかった場合、手術や治療を受けることになり、後遺症や副作用が出れば、結果として生活の質を損なうことにもなりかねません。
 米予防医学専門委員会では、がんによる死亡リスクを下げるという観点から、がん検診の有効性を検証しています。子宮頸がんは65歳以上、大腸がんは85歳以上では推奨せず、75歳以上の乳がん検診は科学的根拠が不足としています。大阪府では、個別に重点受診勧奨をする対象を、胃・大腸・肺がんは60~69歳、子宮頸がんは25歳~44歳、乳がんは50歳~69歳としています。

(2016年6月1日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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