鳥関連過敏性肺炎

 鳥関連過敏性肺炎とは、鳥の羽毛や排泄物に含まれるたんぱく質を吸い込むことでアレルギー反応が起き、間質に炎症が生じて起こる間質性肺炎です。鳥の皮膚からはがれ落ちるフケのようなブルームというたんぱく質が原因です。大きさが5マイクロメートル程度と小さいため、肺の奥まで入り込みやすく、抗原となって体内に抗体ができて過剰な炎症を起こす、いわゆるアレルギー疾患です。
 主な症状は、痰を伴わない「コホッコホッ」という乾いた咳と息苦しさです。急性の肺炎が起きると、38度を超える高熱が出ることもあります。風邪と似ているため、間違えることもあります。かつて鳥飼病とも呼ばれており、インコやオウムなどを飼っている人や、過去に飼っていた人がしばしば発症しました。生きている鳥に限らず、部屋に鳥の剥製があるだけで発症することもあります。ハトが多くいる寺社や公園、鶏ふん肥料を使っている畑、養鶏場などが自宅近くにあると、日常的にブルームなどを吸い込み抗体を作っている可能性があります。羽毛布団やダウンジャケットのような羽毛を使った製品も要注意です。
 鳥関連過敏性肺炎が疑われたら、血液検査や抗原の吸入試験などが必要になります。血液検査では、鳥のブルームやフンに反応する抗体があるかどうかを調べます。治療ではステロイド薬も使われますが、抗原を徹底的に回避することが重要です。羽毛布団やダウンジャケットなどは全て廃棄し、自宅は念入りに掃除することが必要となります。

(2016年12月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。