鼻に噴霧のインフルエンザワクチンの承認

注射ではなく、鼻に噴霧するタイプの季節性インフルエンザワクチンが、3月に新たに承認されました。承認されたワクチンは、フルミストです。接種対象は2~18歳で、左右の鼻の穴に0.1㎖ずつを噴霧します。鼻に噴霧するタイプのワクチンが承認されたのは今回が初めてです。
従来のワクチンは感染力を失ったウイルスをもとにつくる不活化ワクチンで、接種によって血液中で抗体がつくられます。これに対し、今回のワクチンは、生きたウイルスを弱毒化した生ワクチンで、ウイルスの主な感染経路となる鼻に直接噴霧します。注射の痛みがないことが利点です。また、従来の注射のワクチンは、生後6カ月~12歳では2回の接種が必要になりますが、このワクチンは1回で済みます。
痛みが少ないと評価する声があがる一方、海外では効果が疑問視され、接種が一時中止されたこともあります。不活化ワクチンでは、発症や重症化を防ぐ効果がシーズンによっては60~80%と高い時もあり、今回のワクチンの有効性は、データが十分でなく、慎重にみていく必要があります。

(2023年4月5日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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