2016年度の医療費

 2016年度の医療費は、14年ぶりに減少したもようです。医療費は病気や怪我の治療のために1年間に医療機関に支払われたお金の総額を指します。投与が急増したC型肝炎の高額薬の使用が減少したことや、薬の公定価格(薬価)を全般に引き下げたことが効いています。しかし、75歳以上の後期高齢者を中心に医療費は増加が続いており、増勢基調に変化はみられません。
 社会保障を巡る不公平感を和らげ財政基盤を強化するためには、負担が極端に現役世代に偏った医療費の分担構造の見直しが必要となります。現役世代にさらなる痛みを強いるのであれば、同時に高齢者世代の窓口負担なども一体的に見直して適切な負担を求めていくべきです。2018年度には診療報酬と介護報酬の同時改定を控えています。賃金や物価が伸び悩む中、政府内には主に医師の人件費に充てる診療報酬本体も厳しい改定で臨まざるを得ないとの意見が多くなっています。

(2017年8月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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