21年ぶりの出生率高水準に憶う―Ⅰ

 2015年の合計特殊出生率は1.46となり、前年より0.04ポイント上がりました。出生率は2014年に9年ぶりに低下し、出生数も4年連続で過去最少を更新していましたが、2015年には上昇に転じました。出生数も前年より2,117人増の1005,656人となりました。近年の景気回復傾向などを背景に、2529歳の女性の出生率が5年ぶりに上昇したことや、晩婚化傾向が緩やかになりつつあることなどが要因に挙げられます。
 平均初婚年齢は、夫(31.1歳)、妻(29.4歳)とも前年と同じでした。妻でみると2000年以降、5年で1歳程度のスピードで初婚年齢が上がり、晩婚化が進んできましたが、この数年は上昇率が鈍り、出生率を押し上げる要因となっています。しかし、第1子出産時の母親の平均年齢は前年より0.1歳上がり、30.7歳で過去最高を更新しており、晩産化傾向には歯止めがかかっていません。1549歳の女性の数も前年比で26万人減少しており、婚姻件数は635,096組前年より8,653組減となり、戦後最少となりました。
 合計特殊出生率が上昇した背景には、有効求人倍率が上がるなど景気回復の兆しが見えていたのに加え、自治体などが積極的に少子化対策に乗り出したこともあると考えられます。ただし、出産の中心となる40歳以下の女性の数は、今後も数十万単位で減少するため、このまま上昇傾向を維持できるとは思えません。

(2016年5月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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