わが国の労働生産性の低さについては、非製造業や中小企業での低い労働生産性や労働市場の流動性の低さが原因であると考えられてきました。しかし、これらの分析の前提には高等教育による人的資本形成は考慮されていません。わが国は高等教育に対する公的支出がOECDの中で低いとされています。
労働生産性と高等教育機関への1人あたりの公的支出の間にはきれいな正の相関があります。知識基盤社会といわれている現在、高等教育機関への支援が労働生産性に影響を与えていると考えられます。長期的な視野に立った人材育成こそが国の基礎であり、それを可能にする教育政策こそが成長戦略の要になると思われます。
（2017年1月7日 日本経済新聞）
（吉村 やすのり）
