スポーツジムでの事故の増加

消費者安全調査委員会の報告によれば、スポーツジムなどでのトレーニングによる事故が増加傾向にあります。2023年までの6年間で505件発生しています。うち4割は、個別指導を受けるパーソナルトレーニングで起きています。運動不足解消などの目的で利用は増えています。



2018~2023年にパーソナルトレーニングで起きた事故は209件です。29%が治療に1カ月以上を要する重傷でした。背骨骨折など消費者安全法の重大事故と認められるものも9件みられています。個人ジムや個別指導の人気は近年高まっています。国民生活センターが2022年に実施した消費者アンケートによれば、1対1の方が成果が出やすい、自分に合ったトレーニング方法を指南してほしかったが、いずれも半数を超えています。新型コロナウイルスの感染拡大期に大型ジムが敬遠されたことも追い風となっています。
事故多発の背景にあるとみられるのが、トレーナーの技量やノウハウの差です。パーソナルトレーニングのサービス提供者は多岐にわたり、業界団体に所属していない事業者や個人事業主も少なくありません。指導に当たって義務付けられている法的な資格はなく、知識やスキルは、各事業者やトレーナー個人によって違っています。
国民生活センターは、パーソナルトレーニングへの注意を呼び掛けています。消費者安全調査委員会は、事業者やトレーナーへのアンケート調査やヒアリングを実施するほか、国内外の法令や資格制度についても確認し、事故防止に向けてどんな対策を示せるのかを検討します。

 

(2024年4月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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