iPS細胞から血小板の再生

 iPS細胞から、血液の成分である血小板を量産する技術が開発されました。血小板は、血液に含まれる成分で血を固める働きがあります。出血を伴う外科手術や大怪我の治療の際に不足するため、輸血の最も重要な成分とされています。血小板は現在は全て献血でまかなっていますが、iPS細胞で血小板が大量生産できるようになれば、献血に頼らず輸血ができるようになります。
 iPS細胞を使って血小板を製造するコストは、献血を使うよりも大幅に安くなります。またiPS細胞から作れば、無菌化により2週間ほど保存できるため保管コストも安くなります。ウイルスなど病原体の混入も防げます。献血に混入したウイルスが、薬害エイズ事件やC型肝炎の感染拡大などを引き起こしていましたが、iPS細胞で作ればこのリスクを回避できるようになります。安全性などを調べる臨床試験用の製剤を製造し、2018年中に臨床試験を開始する予定です。

(2017年8月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。