iPS細胞の医療応用

 理化学研究所のグループは、世界に先駆け、2014年に患者自身のiPS細胞から作った網膜組織を移植しました。しかし、細胞の培養や品質チェツクには膨大なコストと時間がかかりました。この課題を解決するため、国の事業として進めているのがストック事業です。移植後に拒絶反応が起きにくい免疫のタイプの人を探し、血液を提供してもらいiPS細胞を作製します。その細胞を凍結保存し、研究機関や製薬企業に配ります。複数の患者に同じ細胞を使うことで、大幅にコストや時間を減らせます。
 今回、基盤となるiPS細胞ストック事業で重大なミスが発覚しました。本来、製品の製造や品質の管理は、製薬会社など民間企業が得意な分野です。研究所の危機管理体制には不備の点も多いと思われます。研究所の危機管理体制には不備の点も多いと思われます。運用の不備があったということですから、民間企業のノウハウを導入することが大切です。

(2017年1月24日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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