Precision Medicine

 ヒトの全遺伝子を調べるゲノム検査は、病気の予防や治療に役に立ちます。次世代シーケンサーと呼ぶ遺伝子解析装置を使って、ヒトの遺伝情報を読み解き、病気の原因になる遺伝子の異常などを検出します。がんなどの患者の組織や血液中の細胞を使って、ヒトの全遺伝子を解読し、患者に合った治療法の選択に生かそうとするのが個別化医療、Precision Medicineです。
 がんは遺伝子で治療法を選択する時代に入りました。同じ臓器のがんでも原因となる遺伝子の違いによって、薬の効果や副作用が異なります。患者に特有ながん遺伝子の変異を迅速に調べて、最適な薬を選ぶゲノム診療が行われるようになってきました。同じがんでも原因となる遺伝子が異なるため、患者によって通常の抗がん剤が効かなかったり、副作用が強く出たりすることがあります。各患者の遺伝子を調べてがんに特有の遺伝子変異を特定できれば、副作用がより少なく、効果がより高い治療薬の選択などに道が開けます。

(2016年5月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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