勤務先のパワハラの増加

 職場のパワハラは、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)で、①優越的な関係を背景とした職場での言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③労働者の就業環境が害されるという3つの要件がそろうと認定されます。

 パワハラの相談件数の統計は、防止法施行の2020年度に1万8,363件、2021年度は2万3,366件でした。2024年度は7万2,789件と急増しています。ハラスメント行為を自認したり指摘されたりした人への厚生労働省のアンケートでは、約4割が勤務先は自分のそうした行為を認識していなかったと答えています。パワハラが発生していても、会社自体が分かっていないことが多いようです。

 20~64歳の男女労働者8千人へのアンケートでは、過去3年でパワハラを受けたと答えた人のうち、36.9%は社内外への通報などをしなかったとしています。その理由の65.6%は、何をしても解決にならないと思ったからでした。一方、勤務先が事案を認識していたと答えた573人のうち、勤務先がハラスメントの判断を曖昧なままにしたと答えた人が61.4%に上っています。

 民間の調査では、ハラスメントを受けた時に職場に通報すると回答した割合は、中高年世代が4割程度だったのに対し、1995~2004年生まれのZ世代は約8割でした。Z世代は、嫌なら仕事を変えればいいとドライで合理的に行動します。部下を潰してしまうクラッシャー上司の下からは、こうした年代はどんどん離れていくと思われます。

(2026年5月10日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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