がん・生殖医療の現況

がん治療の前に卵子や精子などを凍結保存する妊孕性温存療法が広がっています。妊孕性温存では、卵子や精子などを長期的に凍結保存するため経済的負担が大きな問題となっていました。厚生労働省は、2021年度から妊孕性温存療法の研究促進のための補助事業を開始しました。国と都道府県が費用を負担し、都道府県などが実施主体となって、受精卵凍結なら1回につき35万円を上限に、最大2回まで助成します。
助成事業は47都道府県で実施されています。厚生労働省によると、2021年度は重複も含めて867人に、計1,050回助成を実施しています。自治体による差もあります。東京都は独自に国の負担を上回る補助を出しています。
治療の進歩でがんを克服する小児や若い世代が増えており、将来、自分の子どもを授かる希望につながります。患者が希望すれば適切なタイミングで生殖医療専門の医師と連携し、将来子どもを授かる可能性を選択するかしないか、患者が決められるような体制整備が急務です。

 

(2024年3月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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