アカデミックハラスメントの実態

アカデミックハラスメントとは、大学や大学院などのアカデミアで、立場が強い教員や研究者が、学生や同僚に行うハラスメント行為のことを指します。セクハラやパワハラも含めて、広くアカハラと捉えられています。しかし、法律で防止することが求められている職場におけるセクハラやパワハラとは異なり、アカハラに法律的な定義がありません。
個人の尊厳を傷つけたり、教育や研究の環境を悪くしたりする言動があてはまります。広島大学のガイドラインでは、学生の論文を受け取ったのに助言しないまま放置する、評価基準を恣意的に変えて留年させる、研究アイデアを無断で使うといった行為が挙げられています。

大学は、学問の自由の理念のもと、研究室の自治を重視する傾向があり、どんな指導が行われているのか外部からは見えにくい状況にあります。教授をトップに、准教授、講師とピラミッド型で運営される講座制をとっている大学が多く、研究室の予算や人事の権限が教授に集中しています。そのため、ハラスメントが起きやすいという構造があります。
研究者の世界は狭いため、教員を代えた場合、報復されるのではと不安を覚えたり、教員から研究テーマの変更を求められたりする恐れもあります。そのため、やむを得ず海外の研究機関に移ったり、研究者の道を諦めて企業に就職したりする人もいます。大学のハラスメント相談窓口に相談することが大切です。教員への対応方法や、指導教員の変更のための支援を受けられる場合があります。

(2024年3月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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