イオン飲料の取り過ぎに注意

 夏場は、運動後や汗をかいた時の水分補給に、イオン飲料を取ることが多くなります。糖分と塩分を含む飲み物を指し、いわゆるスポーツドリンクです。体に良い飲み物という印象から、子どもに日常的に与える親も多くみられます。近年は飲み過ぎで脚気になる子どもが、離乳期を中心に増えています。脚気はビタミンB1欠乏症の一つで、手足のしびれや浮腫みが起き、歩きにくい、一人で座りづらいといった神経症状が出ます。重症化すれば心不全を引き起こすこともあります。
 ビタミンB1が欠乏する原因は、スポーツドリンクの糖分にあります。100ml当たり約5gの糖分を含んでいます。ビタミンB1は、体内で糖を分解してエネルギーを作るために必要な要素です。スポーツドリンクを1ℓ飲むごとに体内のビタミンB1を約0.1mg消費する計算になります。大半のイオン飲料はビタミンB1を含まないため、不足を防ぐには食事からの補給が必要になります。子どもがイオン飲料を飲むと、塩分で喉が渇き、飲み続けてしまいます。子どもは甘い味に慣れると、薄味の離乳食を欲しがらなくなってしまいます。安易にスポーツドリンクを与えるのは危険です。脱水状態の子どもの水分補給には、糖分の少ない経口補水液が望ましいとされています。

(2017年6月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。