エコノミークラス症候群とは

 地震などの避難生活や長期間の同じ姿勢を取り続けた場合、気をつけなければならないのが、エコノミークラス症候群です。足に血栓ができたり、その血栓が肺に飛び血管に詰まったりする病気です。4月の熊本地震でも、車中泊をしていた男性が肺梗塞で亡くなるといった関連死の中にも、同症候群の可能性が指摘されている人がいます。長期間同じ姿勢を取った場合、ふくらはぎなど主に足の静脈に血栓ができる深部静脈血栓と、この血栓がはがれ、血流に運ばれて肺の血管を塞ぐ肺塞栓に大別されます。血栓が肺の血管につまると、体内に酸素を取り込めなくなり、呼吸困難などで死亡することがあります。
 血栓ができるのは長時間動かないことで血液の流れが滞ったり、ひざの曲がっている部分の細胞が傷ついたりし、血液が固まりやすくなるためです。また、狭い乗り物の中にいる時や、災害時にトイレに行く回数を減らそうとして水分を控えれば、血液の粘度が上がり、血栓ができやすくなります。血栓の予防には足を動かしたり、マッサージしたりすることが重要です。しかし、いったん血栓ができてしまうと、肺の血管に運ばれないように足を動かさず、薬で血栓をとかすなどの治療を受けなければなりません。機内は乾燥し、思った以上に体から水分が失われているので、こまめに飲み物を飲むことが大切です。

(2016年6月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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