オールド・ボーイズ・ネットワーク

オールド・ボーイズ・ネットワーク(OBN)とは、男性同士の独特の文化や目には見えない約束事、人間関係のことを言います。その閉鎖性から米国などでも女性の活躍を阻む要因とされてきています。OBNのような同調的な組織は、男性同士の結びつきが強いため、女性は入りにくさを感じるジェンダーの壁をつくってきています。
このような組織風土は、女性の働く意欲やチャンスを奪い、結果的に昇進に影響を与えることになります。高度経済成長期は、男性主導、同調型の集団でも上手く行きましたが、今は個別の力を認め合いネットワーク化して、組織の目標を達成する時代です。昔ながらの均質集団は、女性だけでなく若い世代の元気も奪ってしまい、イノベーションが起こりにくくなってしまいます。
帝国データバンクの全国2万4,285社を対象に実施した調査によれば、女性管理職3割を達成した企業は、8.6%にとどまっています。女性活躍推進の阻害要因となっているのは大きく3つ考えられます。1つめが将来像が見えないこと、2つめは仕事と家事・育児の両立、そして実は1番大きい壁が、オールド・ボーイズ・ネットワークです。女性活躍推進を企業として本当に達成したいのであれば、マイノリティーである女性だけが取り組んでいても状況は変えられません。
OBNには意思統一を図りやすいなどの側面もありますが、男性みなが同じような行動を取るわけではありません。女性が壁を感じるような組織では、外国人や障害者雇用などのD&Iを推進することはできません。本当に対策をするなら組織トップがOBNを認識することも重要です。経営戦略としても、目標が明確だった時代の阿吽の呼吸のようなスムーズさより、D&Iが生み出す議論の深さやイノベーションを重視することが大切です。

(2022年7月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。