潰瘍性大腸炎患者にミニ臓器移植

東京医科歯科大学の研究グループは、大腸の粘膜に炎症が起こる難病である潰瘍性大腸炎の患者1人に対して、患者本人から採取した細胞を増やして腸のミニ臓器(腸上皮オルガノイド)を作り、患部に移植しました。治療のためにオルガノイドを患者に移植したのは、世界で初めてです。
潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜で慢性的な炎症が起きる難病で、腹痛や下痢、血便などの症状が続きます。国内には22万人の患者がいると推計されています。薬で炎症を抑える治療が一般的ですが、傷ついた粘膜が治らないと、大腸を摘出する手術が必要になる場合もあります。
難治性の潰瘍性大腸炎に罹った患者の腸で、傷ついていない部分の粘膜組織を内視鏡で採取し、この組織を培養して、体外で大きさ0.1~0.2㎜の球状の腸上皮オルガノイドを作り、約1カ月かけて移植に必要な量まで増やしました。この患者の腸の傷ついた部分に、内視鏡を使って戻しました。移植したオルガノイドが傷ついた粘膜を修復することが期待されます。

(2022年7月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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