待機児童減少による保育園経営

国は、2001年に待機児童ゼロ作戦を打ち出すなど、定員の拡大を進めてきました。都内では、ここ数年に認可園が年間150~250園増え、20年前の2倍となる3,477園に拡充しています。都内の待機児童は、2014年の8,672人から、2021年は969人まで減少しています。その結果、0歳児が定員割れする園が相次いでいます。都内の0歳児の定員割れは、1,783人にのぼっています。
0歳児の欠員は保育園経営に大きな打撃を与えています。在籍児童数などに応じて国や自治体から支払われる委託料の単価が、他の年齢に比べてかなり高いからです。このままだと閉鎖や定員削減をする園が続出し、待機児童問題が再燃する可能性が出てきます。
保育園の急増で引き起こされたもう一つの問題が、保育士不足です。求人倍率は都内で3.43倍となっています。背景には、保育士の待遇の低さがあります。岸田政権が打ち出した保育士らの処遇改善として、収入を3%程度(月9千円)引き上げる事業が始まっています。保育園のニーズが頭打ちなら、量から質の確保に財源を振り向けることが必要となります。保育士を手厚く配置できれば、過重労働を改められ、保育の質の向上と人材確保につながります。

(2022年7月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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