クラウドサービスの普及

クラウドサービスとは、ITインフラやソフトウエアをインターネットを通じて利用するサービスのことを言います。ユーザーは、使いたい機能を使いたい分だけ利用し、データ容量や機能を自由に拡張できます。クラウド事業者が機能を頻繁にアップグレードするため、利便性に優れています。
独スタティスタによれば、幅広いユーザーが使うパブリッククラウドの世界市場のシェアは、2021年にAWSを展開するアマゾン・ドット・コムが、15.8%で首位となりました。マイクロソフトの10.7%やグーグルの4.3%など米国勢が上位を占め、これをアリババ集団など中国勢が追いかけています。2021年の世界市場は3,344億ドル(約48兆円)で、2027年には2.5倍の8,345億ドルに拡大する見通しです。

日本では、クラウドサービスの普及が遅れ、IT投資に占める比率は2021年に4%と、北米の3分の1にとどまり、2025年には差がさらに広がる見通しです。独自仕様で作る旧来システム志向が根強く、クラウドの強みの低コストや最新技術を生かせず、日本のデジタルトランスフォーメーションが進まない要因になっています。

企業はクラウド導入することにより、ITインフラの年間コストを1社平均で22~29%削減することができます。クラウド活用の遅れは、企業の競争力を劣後させる恐れがあります。情報処理推進機構やEU統計局がまとめた日米欧30カ国の企業のクラウド利用状況と、スイスのIMDの世界デジタル競争力ランキング2021を使い散布図を作ると、クラウド利用が進む国・地域ほどデジタル競争力が高いことが見て取れます。

 

(2022年9月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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