公営住宅の空室の増加

低所得世帯の入居が原則の公営住宅で、空室が増加しています。入居条件を緩和して若者世代を受け入れて地域活性化を図るなど、有効活用する取り組みが全国の自治体で広がっています。背景には、老朽化に伴う空き部屋の増加や入居者の高齢化があります。
公営住宅は、民間住宅の整備促進や人口減を受けて新規建設が少なくなり、2005年度の219万戸をピークに微減しています。現在は築30年以上が7割を占め、老朽化や立地の悪さを理由に入居を避ける人も多くなっています。国土交通省によれば、2020年度末現在、入居者を募集しているのに1年以上空室の部屋は4万6,758戸で、2011年度(1万8,673戸)の2倍以上に増えています。全入居者のうち65歳以上が占める割合は、2011年度の44%から59%に上昇しており、高齢化も進んでいます。

公営住宅の空き部屋には、ロシアのウクライナ侵略で日本に逃れてきた避難民も入居しています。国は避難民がすぐに住めるよう、自治体からの承認申請を事後でも認める柔軟な対応をとっています。公営住宅の本来の役割は、住宅困窮者のセーフティーネットです。空き部屋が増えても、戸数を減らすのではなく、有効な活用策を考えるべきです。

(2022年9月25日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。