コロナ禍でのオンライン診療の必要性

オンライン診療とは、インターネットに接続したスマートフォンやパソコンなどを使い、自宅などから医師の診察を受ける仕組みです。新型コロナウイルスの院内感染などが多発し医療機関の受診が難しい中、オンラインや電話を用いた診療のニーズは高まっています。厚生労働省は、2020年4月に流行が収束するまでの特例的な措置として規制を緩和しました。初診患者を含む幅広いオンライン診療が可能になり、内科や小児科での利用が多くなっています。

一般には医療機関に連絡して支払い方法などを確認し、予約を取ります。当日は本人確認を済ませてから症状などを説明します。診療後に医療機関を訪れるようすすめられる場合もあります。薬を処方された場合、最寄りの薬局をオンライン診療を受けた医療機関に伝え、診察後に薬局に連絡するなどして薬を受け取ることができます。
新型コロナウイルスに感染した自宅療養者に、オンライン診療を活用する動きがようやく日本でも広がり始めています。海外では重症者らの病床不足を軽減する狙いもあって、軽症者は遠隔診療で手厚い支援を受けられるようにしつつ、自宅療養を促す動きが広がっています。日本でも利用促進をめざす自治体が出てきていますが、日本では電話やオンラインによる遠隔診療は、2021年3月末時点で、登録医療機関が1万6,810機関と全体の15%にとどまっています。初診も対応できるのは、7,137機関と6.4%ほどです。
自治体が医師会や民間業者と協力し、自宅療養者の健康観察に往診やオンライン診療を取り入れているところもあります。保健所の業務の負担を軽減しつつ、感染者の体調の変化を早期にとらえて重症化を防ぐ狙いがあります。
元々オンライン診療では誤診するリスクがあると利用に慎重な医師は多いのが現状です。金銭的な壁もあります。対面よりオンラインの診療報酬が低かったり、情報通信機器の費用が必要となります。オンライン診療の再診料などは1,390円なのに対し、対面診療の再診料などは1,930円と高めに設定されています。

(2021年4月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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