コロナ禍での女性の就業率

女性の就業率が子育て期に著しく下がるM字カーブは近年解消され、女性の活躍が進んだといわれてきていました。しかし新型コロナウイルス禍では、多くの非正規雇用の女性が失業し、再就職をあきらめる人も目立ってきています。
コロナ禍で解雇や離職後に、就労も求職活動もしていない、いわゆる非労働力化した女性の割合は21.6%と、男性の7.4%の3倍にのぼっています。労働力調査の結果でも、今年1~3月、就業も求職活動もしていない人のうち、就業を希望しない女性は、前年同期から32万人増えています。コロナの感染リスクを避けるために家庭にとどまる人もいますが、再就職をあきらめる背景には、女性の労働市場のいびつさも存在しています。
女性の雇用者のうち、半数以上は非正規労働者が占めています。この割合は男性の2倍以上です。そして年齢に伴い女性の非正規雇用の割合は上昇します。日本では、残業付きであることの多いフルタイム就業ができない場合、働き方の選択肢は、非正規労働に限られてしまいます。さらに性別役割分業意識が強く、家事・育児負担の多くは女性が負っています。そのため働く女性が増えても、結婚・出産後に職を失った際の再就職先はほぼ非正規雇用です。

(2021年5月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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