コロナ禍での家事・育児の負担

新型コロナウイルス下で、在宅勤務をはじめ柔軟な働き方が広がっています。しかし、世界的に夫婦の間で家事や育児に充てる時間の差が拡大しています。OECDがまとめたコロナ流行前のデータによれば、家庭内の無償労働に割く時間は、多くの国で女性の方が長くなっています。日本が男性の5.5倍、韓国が4.4倍と主にアジアが目立つだけでなく、米国も1.6倍やフランスも1.7倍と少なからぬ差が出ています。
国連の2020年11月のリポートによれば、計38カ国・地域の調査で、家事などに費やす時間が増えたとの回答は、女性が60%と男性の54%より多くなっています。日本でも、内閣府の2021年秋の調査によれば、家事・育児の時間が増えた割合は女性が44%で、男性の38%を上回っています。妻がフルタイム勤務でも、妻の負担がコロナ下で6割に達しています。
家事や育児といった無償労働を過度に押しつけられていると、経済的な自立が難しくなる問題も出てきます。同じ学歴でも、女性は男性より生涯年収が低い傾向があります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば、同じ正社員でも、女性の賃金水準は男性の8割弱です。能力や意欲のある女性の力を埋もれさせたままにしておけば社会全体の損失につながります。

(2022年2月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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