コロナ禍での小中学生の体力低下

スポーツ庁が小5、中2男女を対象に行う全国体力・運動能力、運動習慣等調査によれば、2021年度の体力テストの合計点は、小・中学生の男女ともに2019年度を下回っています。子どもが運動する機会が減っています。新型コロナウイルス禍で運動会の中止や部活動の制限が相次ぎ、友人と外で遊ぶ機会も減っています。
一方で、保護者の習い事の関心が高まっています。母親が子育ての悩みを投稿したり、情報を検索したりできるアプリにおいて、習い事関連のものでは、コロナ下は、体操、スイミングなど運動に関する単語が多く登場しています。コロナ前は高かった英語の登場回数が低くなっていたのとは対照的です。
運動する機会が減ることは、元々運動が好きな子どもとの差が広がることも意味します。コロナ下でも運動する時間が増えたと答えた児童生徒は、3割にのぼっています。主体的に運動する習慣がない子どもの運動量が減った可能性があります。子どもが楽しく遊びながら体を動かせる環境が整備されている地域は限られます。習い事を始められるのは、保護者が環境変化に気づき積極的に対応する家庭の子どもに偏りがちです。恵まれた地域や家庭のみに支援が偏らないよう、誰でも通う公共的な場所に、子どもが体を動かせる環境を提供していくことが必要となります。

(2022年6月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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