コロナ禍での面会制限の影響

新型コロナウイルスのワクチン接種などを条件に、医療機関や高齢者施設で患者・入所者と家族の面会制限を緩める動きが一部で出始めてきています。広島大学らの2020年の調査によれば、コロナ禍での面会制限により、約4割が認知症患者の状態に影響が出たと回答しています。認知機能や興味・関心の低下、歩行機能の弱まりが見られています。



しかし、全国に約40ある国立大学病院のホームページによれば、11月15日時点でおよそ9割が面会を原則禁止しており、現状で制限を緩和している病院や施設は一部に限られています。高齢者や病気を抱える患者が感染すれば、重症化する可能性が高く、ウイルスの侵入をできる限り防ぐ必要があるためです。
国内のワクチン2回目接種率は7割を超え、65歳以上では約9割に達しています。全国の1日当たりの新規感染者も低水準で推移しています。今後は、面会制限は感染状況に応じて緩和すべきと思われます。対策としては、面会時間や人数の制限が有効で、糖尿病患者など重症化リスクが高い場合は特に注意する必要があります。家族の納得が得られるように、各施設は状況に応じた面会制限の基準を決めておくことが必要です。

(2021年11月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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